健康・脳科学

匂い(嗅覚)と記憶・感情は脳の構造的にも深い関連があるんです

とあるにおいを嗅いだ瞬間、突然過去のできごとが思い浮かんだりすることってありませんか?
特に昔慣れ親しんでいた香りを吸ったり、ある場所に固有の匂いを嗅いだりしたときなど。

 

また良い香りを嗅いだだけで気分が良くなったり、嫌な臭いを嗅いだあとになんとなく機嫌が悪くなったりすることなんかもありませんか?
誰もが不快に感じるような刺激臭に限らず、その匂いを嗅いでいると気分が悪くなるようなものなど。

 

そんな匂いなんですが、実はものすごく奥が深いものだったりするんですよ。
というわけで、今回は匂いと記憶や感情について見ていこうと思います。

 

五感の中でもちょっと特殊な嗅覚

 

動物が通常外界から感じとる感覚機能として、よく言われるのに"五感"というものがありますよね。

 

五感というのは

1.視覚

2.聴覚

3.触覚

4.味覚

5.嗅覚

の5つのことですね。

 

1-4については、それぞれ情報を処理するところが解明されています。
この4つの感覚についてはいわゆる"大脳新皮質"というところに情報が入っていって、その感覚情報が認識されています。

 

それぞれ1.は後頭葉の視覚野、2.は側頭葉の聴覚野、3.は頭頂葉の感覚野、4.は頭頂葉の味覚野にて処理されます。

 

ちなみに大脳新皮質というのは、動物の進化とともに徐々に発達してきた、高次の脳の部分と言われています。

 

対して、においを感じる嗅覚についてはどうでしょう。
実はいろいろ検証されているのですが、分かっていない部分も多かったりするんですよ。

 

ではにおいはどのようにして感じているのか、その経路について考えてみましょう。

 

まず鼻から吸い込んだものが、鼻腔の上の方にある嗅球という部分で認識され、嗅神経を伝って脳に情報が伝達されます。
そこから"嗅内野"という部分に至るのですが、この嗅内野というのは"古皮質"と言うものに分類されています。
要は、古い大脳の部分ということですね。
場所的には側頭葉の内側に位置していて、海馬のすぐ近くになります。

 

ここに至った情報は、その後"大脳辺縁系"と呼ばれる部分に信号が及ぶとされています。

 

大脳辺縁系というのは、生命維持や本能、情動に関係すると言われる、原始的な部分を司っている脳に当たります。
具体的には、海馬や扁桃体、脳弓、帯状回、側坐核などが含まれます。
これらのところに情報が伝わっていくようなんですが、どこで最終的に処理されているのかは不明な点も多いようです。
前頭葉の前頭眼窩野にも至るという話もありますが、そこが嗅覚のすべてを処理しているわけでもないようですしね。
調べれば調べるほど、実は奥が深いのかもと感じてしまいました。

 

大脳辺縁系が記憶と情動に関係しているのです

 

嗅覚の経路の中で出てきた"大脳辺縁系"と言う部分ですが、ここが実は記憶と情動に関係しているのです。

 

"海馬"というのは時々耳にされることがあるかもしれませんが、ここは記憶に関係している脳の重要な部分に当たります。
アルツハイマー病では、この海馬がやせてきてしまいます。
それとともに記憶力が低下していってしまうんですよ。

 

また扁桃体は恐怖に、側坐核は"やる気"に関係するなど、この辺りは情動に影響する部分なんです。

 

この大脳辺縁系に、嗅覚からの情報が入っていくことから、匂い自体が記憶や情動に関係してくるという話になってくるわけですね。

 

そして最初の方の話に戻って、何か特殊な臭いを嗅いだりすると、突然過去の記憶がフラッシュバックするというのは、この回路が影響しているのではないかなぁと思うんです。
ある"におい"とある"記憶"が、知らない間に結び付けられているんじゃないんでしょうかね。

 

またあるにおいを嗅ぐと、知らず知らずに気分が良くなったりするのも、実は大脳辺縁系にそういう信号が入力されているからなんじゃないかなぁと思います。

 

側頭葉てんかんと匂いについて

 

てんかんの中には、側頭葉という大脳の一部から生じるものがあり、それは側頭葉てんかんと言われます。

 

その側頭葉てんかんの中の症状として、"異臭を感じる"というものがあるんです。
また発作が起きる前駆症状として「変なにおいを感じる」と言っていた患者さんに実際に会ったこともあります。

 

これは異常な脳波が、においの経路の説明の中で出てきた、側頭葉内側の"嗅内野"に至って、生じているんでしょうね。
匂いの発作というのもちょっと特殊なものなんですが、解剖的なことを考えると"なるほどな"と納得してしまいました。

 

記憶や感情に嗅覚をうまく生かすには?

記憶や感情に関わっているとされる嗅覚ですが、何かうまく生活の中に生かせないかなぁとも考えてしまいますよね。

 

そしてよく考えてみると、実際に生かしている分野がありました。

 

それが

アロマセラピー

ですよね。

 

植物から抽出した精油(エッセンシャルオイル)を使って、心や体を癒すというものです。
ストレスの軽減や、うつ病なんかにも効果があるとされていますが、これぞまさしく感情に影響しているからなんじゃないでしょうか。

 

このアロマセラピーですが、ちゃんとしたものを受けようと思うと、専門のところに行かないといけません。
しかし最近だと、通信講座で資格も取れてしまうんです。

 

≫ビューティー資格ナビ アロマテラピー

 

 

自分の感情をコントロールしやすくするために、いっそのこと専門家を目指してしまうのもありかもしれません。

 

 

 

またアロマセラピーの中で使われるエッセンシャルオイルですが、こちらもその気になれば本物をネット通販で簡単に購入することが可能となっています

 

≫【精油・アロマPerfumerhouse】

 

 

 

本格的なものでなくても、例えば良い香りを嗅いで、気軽に気分を落ち着かせたいというだけなら

アロマディフューザー

という道具を使うという手もあります。

 

これはエッセンシャルオイルを、機械を使って部屋に拡散させるというものです。
具体的にはこんな感じのものです。

 

こちらならわざわざアロマセラピーを施術してもらいに行かなくても、気軽にアロマセラピーを受けたような効果が得られます。
実際に自分も使っていますが、なんとなくストレスがたまったり、疲れたときにこれを使うと、ちょっと癒された感じになります。

 

≫アロマディフューザー【アロミック・エアー】

 

 

これらの匂いをうまく使うことで、少なくとも感情には良い影響を与えることはできるかと思います。

 

もう一つの記憶に関しては

良いにおいを嗅ぐことで、記憶力が上昇!?

というところまでは 、まだ残念ながら至っていないようですね。

 

しかし嗅覚と空間記憶が関連している可能性については、論文にもなっているので、もしかしたら嗅覚を刺激することで何らかの期待はできるかもしれませんね。

 

【神経科学】嗅覚と空間記憶が関連している可能性 (Nature Communications 2018年10月17日)

 

 

匂いをうまく使って、記憶や感情を高めていきましょう

 

というわけで、今回はにおいと記憶、感情の関係について考えてみました。

 

においについては、正直まだ解明されていない部分がたくさんあるようで、その分奥が深そうな気がします。
嗅覚をうまく使うことができれば、記憶力アップや感情のコントロールがさらに上手にできるようになるかもしれません。

 

実際にアロマセラピーで効果が得られていることからすると、いろいろ可能性はありそうだと思いませんか?

 

また嗅覚が大脳辺縁系と繋がっているというのも面白いところですよね。
大脳辺縁系は古い脳だけあって、潜在意識などとのつながりも強そうですし、秘められた人間のパワーを導き出すことができる部分じゃないかと感じてもいます。

 

いろいろ考えだすとキリがありませんが、ぜひ幸せな生活を送るためにも、においをうまく活用していくのもありかもしれません。

この記事が気に入りましたら、
1日1回下のバナーをクリックして下さると、とっても喜びます♪

-健康・脳科学
-, ,

© 2024 脳とこころと幸せと