健康・脳科学

チーズやチョコレートで頭痛が起きる? それは片頭痛かもしれません

片頭痛で悩んでいる方って、世の中に結構いらっしゃるんですよね。
特に自分は脳外科医なので、よく外来でそのような患者さんに遭遇することがあります。

 

そんな中で、患者さんとお話していて

「チーズを食べて片頭痛が起きることがあるんですよ~」

って話を聞きました。

 

最初は「えっ!?」って思ったんですが、実はチーズも片頭痛と関係があるらしいんですよね。
特にチラミンという物質がどうも片頭痛を誘発しているみたいなんです。

 

今回は片頭痛のメカニズムや、なぜチーズで片頭痛が誘発されるのかなどについて解説していこうと思います。

 

まずは頭痛について

 

まずは頭痛について簡単に勉強していきましょう。

 

頭痛というと、様々なタイプの頭痛があるんですよね。
もちろん頭の中に異常(脳腫瘍やくも膜下出血など)があって起きる"二次性頭痛"というものは、ちゃんと病院にかかって治療をしないといけません。

 

しかしそれ以外に、脳などには異常がなくても起きる"一次性頭痛"と呼ばれる頭痛があります。
こちらは大きく分けると3種類に分類されます。

 

3種類の一次性頭痛

1. 筋緊張性頭痛

2. 片頭痛

3. 群発頭痛

 

この中で最も多いのは、首などの筋肉のコリが原因となる筋緊張性頭痛(筋収縮性頭痛)です。
症状としては、後頭部が重い、頭が締め付けられるような感じの痛み、頭がスッキリしないというような痛みを感じる特徴があります。
最近はパソコンやスマホが普及したこともあって、こちらの頭痛を訴えてくる患者さんが多いです。

 

片頭痛の特徴について

 

対して、片頭痛はというと拍動性のズキズキするような頭痛というのが特徴です。
"片"と付くので、片側にしか起きないかというと、必ずしもそうではありません。
両側同時に起きることもあります。
またこめかみのあたりが痛くなることが多いのですが、後頭部が痛くなる人もいるので、必ずしも場所だけで決めることはできません。

 

痛みは筋緊張性頭痛と比べると強いため、困っている人が多いんですよね。
痛くなり始めると、だいたい4-72時間ぐらいは続くと言われています。
また片頭痛は女性に多く、月経周期に合わせて定期的に痛くなるという人もいます。
特に生理前や整理中に痛くなるという人が多いです。
だからホルモンの変化とも関係があると言われています。

 

そのほか片頭痛の前に前兆を感じる人もいたりします。
よくあるのは"目の前がチカチカする"などといった症状です。
その症状が出て、それがおさまってしばらくしてから頭痛が出現してくるというものです。
前兆を毎回伴う人もいますが、必ずしも伴わない人もいます。

 

ただ前兆を伴うような頭痛については、ほぼ片頭痛と考えて良いかと思います。

 

片頭痛で頭が痛くなるメカニズム

 

片頭痛が起こるメカニズムについては諸説あります。
しかし現時点ではまだはっきりしていない点が多いと言えます。

 

その中で現在最も受け入れられているものが

三叉神経血管説

というものがあります。

 

片頭痛を誘発するような刺激が入ると、脳血管周囲にある三叉神経終末から神経伝達物質が放出されます。
神経伝達物質として主なものには、サブスタンスP、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)、ニューロキニンAなどが挙げられています。
それらの物質が放出されることによって血管周囲で炎症を生じたり、血管が拡張することで片頭痛が起きるというのが、この三叉神経血管説です。

 

簡単にまとめてしまえば、血管が拡張することで、三叉神経が引っ張られて痛みを感じるというような流れですね。

 

片頭痛の治療について

 

先ほどの片頭痛が起きるメカニズムを考えると、治療としては血管が拡張したものを収縮させることができればよいわけですね。
具体的にどのような薬剤があるか、説明していきましょう。

 

1.トリプタン製剤

片頭痛に対して、現在よく使われる薬としてはトリプタンというものがあります。
こちらはセロトニン(5-HT)という物質の受容体に結合して、同じような効果を発揮してくれるお薬です。

 

セロトニンはいろいろな受容体に結合するのですが、その中でも片頭痛には2種類の受容体が大きく関係していると言われています。
セロトニンの受容体のうち、脳の血管には1B受容体が、血管周囲の三叉神経には1D受容体が存在しています。
トリプタンはこの2つのセロトニンの受容体に作用することで、脳の血管の拡張を抑えてくれるのですね。
それによって頭痛が楽になるというわけです。

 

2.消炎鎮痛剤

消炎鎮痛剤というのは、ロキソニンやバファリンなどのいわゆる痛み止めですね。
この種のお薬はどんな痛みにも効果がありますので、当然片頭痛にも効いてくれます。
また炎症を抑えるという意味でも、片頭痛に対する効果は期待できます。
頭痛に対して使われる薬の割合でいくと、消炎鎮痛剤が最も多いかもしれません。

 

ただ片頭痛もひどい痛みになると、消炎鎮痛剤ではなかなか効かない人が多い印象です。

 

3.抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)製剤

これまで海外では販売されていましたが、いよいよ日本でも発売開始となりました。

 

2021年4月から、先ほどのメカニズムのところで挙げられたCGRPに対する抗体製剤が販売されました。
"エムガルティ (ガルカネズマブ)"というお薬になります。

 

こちらはCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質に結合して、CGRPが作用できなくようにするものです。
この抗CGRP抗体というものは、片頭痛を起こさないように予防的に使われるものです。
ですから、痛くなってから使うというタイプの薬ではありません。
しかし頭痛の頻度が多くて困っているという人にとっては、非常にありがたい薬になるかもしれません。

 

こちらは1か月に1回、自己注射するというタイプのものです。
(初回だけは2本注射します)
ただし注射1本あたりの薬価は45,000円前後と、少々お値段が張るのが難点です。
もちろん保険診療になりますので、自己負担分は3割以下ではすみますが、それでもちょっと高いと感じちゃうかもしれません。

 

とはいえ、片頭痛の頻度がものすごく多くて困っているという場合には、試してみても良いかと思いますよ。
片頭痛のせいで日常生活に影響が及んでいるようなら、それを軽減してくれる可能性もあるわけですからね。

 

また今後よく似た薬も出てくるようですので、そうなればもう少し薬価も下がってくるかもしれません。
それに期待したいところですね。

 

チーズで片頭痛が誘発される理由

 

それでは肝心のチーズでなぜ片頭痛が誘発されるかについてです。
実はチーズにはある物質が多く含まれているのです。

 

それが

チラミン

という物質です。

 

このチラミンという物質、実は血管を収縮させる作用があるんです。

 

Tommy
血管を収縮させるのならいいんじゃないの?

 

って思いますよね。

 

たしかにその通りなんですが、血管を収縮させるだけでは終わらないんです。
脳の血管を一時的には収縮させるのですが、そのあとに逆に拡張させてしまうのですね。

 

脳の血管を拡張させてしまえば、先ほどの片頭痛のメカニズムと一緒の流れになってしまって、結局頭痛が起きてしまうというわけです。
だからチーズで片頭痛が誘発されるというのは、間違っていないということになります。

 

このチラミンという物質、チーズだけに含まれているわけではありません。
多く含まれている食品としては、以下のものが挙げられています。

 

チラミンを多く含む食品

・赤ワイン
・紹興酒
・ビール
・チョコレートやココアなどのカカオ製品
・漬け物などの発酵食品
・燻製の魚
・イチジク

 

またチョコレートに関してはβ-フェネチルアミンという物質も多く含まれており、これが関与しているという話もあります。

 

ですから、もし上に挙げたようなものを食べて片頭痛が誘発されるような方は、今後は少し避けた方が良いかもしれませんね。

 

カフェインは片頭痛にどう作用する?

 

コーヒーやお茶などに多く含まれるカフェインですが、カフェインも片頭痛に関与するというお話もあります。

 

ただカフェイン自体は、実は血管を収縮させる作用があるんです。
ですから、片頭痛の発作の際にカフェインを取ると、片頭痛を軽減できる可能性もあるのです。

 

以前はカフェインを含む片頭痛薬(カフェルゴットなど)もあったぐらいですからね。
血管が拡張して頭が痛くなっている場合には、カフェインを摂取するのも一つかもしれません。

 

ただしカフェインを普段から多くとっているような人はちょっと要注意です。
というのも、普段からカフェインを多くとっている人は、常に血管が収縮しがちになっているんです。
そこでもしカフェインが不足してしまえば、逆に血管が拡張してしまうことになります。
そうなると、血管の拡張によって片頭痛が誘発されてしまうことが起きうるというわけですね。

 

コーヒーが好きだけど片頭痛は避けたいという人は、今後はカフェインレスのコーヒーに変えてみるのも良いかもしれません。

 

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片頭痛を減らす生活のために

 

ということで、今回は片頭痛についていろいろ見てきました。

 

いろいろある頭痛の中でも、片頭痛で苦しんでいる方は結構多いかと思います。
もしその特徴に当てはまるようでしたら、片頭痛の可能性は高いと言えるでしょう。

 

片頭痛が起こるメカニズムとしては、脳の血管が拡張することが最大の原因です。
それを何とか抑えることができれば、症状も軽減できるということになります。

 

血管を拡張させる原因としては、食事などに含まれるチラミンもその一つです。
本当に困っている場合には、チラミンを多く含む食事を避けるのも効果があるかと思われます。

 

そのほかストレスや光の刺激が誘発するとも言われますので、そういったものもできるだけ避けられればその方が良いでしょう。

 

カフェインについては、普段からたくさん摂取している人は、ちょっと減らした方が良いと言えるでしょう。
ただ痛みが出たときには、カフェインを意図的に摂取してみるのもよいかもしれません。

 

片頭痛については、もうすぐ新薬も発売されますので、困っている方は病院でその新薬について相談してみてもよいでしょう。
この記事が、少しでも片頭痛で困っている人たちの参考になってくれると嬉しいです。

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