健康・脳科学

ワーキングメモリを最大限に生かして仕事効率をupしましょう

ワーキングメモリという言葉、聞いたことあるでしょうか?
そのまま訳すと"作業記憶"となりますが、そう聞いてもちょっとイメージがわきにくいですよね(^^;

 

このワーキングメモリ、実は日常生活の様々な活動の中でとても重要な役割を果たしているのです。
また知能指数(IQ)にも関係しているという話もあったりします。

 

ちょうど前回の話でも出てきた、デイブ・アスプリーさんの"シリコンバレー式超ライフハック"と言う本の中にも、このワーキングメモリのことが書かれていたんですよね。
特にこの本の中では、ワーキングメモリの鍛え方について書かれていたんですけどね。

 

今回はそんなワーキングメモリについて、いろいろ深堀りしていこうと思います。

 

ワーキングメモリ(Working Memory)と短期記憶とは少々違いがあります

 

"ワーキングメモリ"というのは、認知心理学で使われる言葉です。
"メモリ"と付くぐらいなので、記憶に関係はするのですが、単純な記憶とは少々異なるものなのです。

 

「作業する際の記憶」と考えると短期記憶と同一とも考えられがちですが、実はそうではないのです。

 

どのように違うかと言いますと、短期記憶はあくまで記憶の保持に関するものだけを指します。
対して、ワーキングメモリは記憶の保持に加えて、保持している記憶を生かして情報の処理を行うことまでを指します。

 

だから

ワーキングメモリ = 記憶 + 処理

と考えてもらうと分かりやすいかもしれません。

 

まさにPCのメモリと同じような感覚ですね。
記憶はHDDに、処理と短期間の記憶はメモリ上で行うというのと同じですね。

 

ちなみにワーキングメモリに関与しているのは、脳の中でも前頭葉の前頭前野という部分と言われています。

 

ワーキングメモリはどんなところで使われる?

 

記憶+処理を行っていくワーキングメモリですが、日常生活の中の様々な場面でフル活用されています。

 

簡単な例で見てみると、ちょっとした暗算などでもワーキングメモリが使われています。

 

たとえば

「100-7+5を計算せよ」

と言われたとしましょう。

 

答えを出すまでのプロセスとしては

①"100-7"を計算して、その結果の"93"を覚える
②覚えておいた"93"をもとに、"93+5"を計算して"98"と答えを出す

という流れになりますよね。

 

この"93"という計算結果を覚えておくのが"記憶"、その記憶をもとに計算することが"処理"ということになります。
何となくイメージが湧きますでしょうか?

 

暗算に限らず、会話の中などでもフルに活用されています。
相手が話した言葉に対して、適切な返答ができるのもワーキングメモリが働いてこそです。
ちゃんと発言を覚えて、それを理解して、その発言に対する返答を考えだすという流れですね。

 

もし相手が話した内容を理解して覚えていなかったら、会話のキャッチボールも成立しなくなってしまいます。

 

ですから、日常のちょっと高度と思われる作業には、ほぼワーキングメモリが使われていると言っても過言ではないでしょう。

 

ワーキングメモリと知能の関係

 

日常生活を送る中でもかなり重要なワーキングメモリなのですが、実は

知能ともかなり相関する

と言われているのです。

 

つまりは

ワーキングメモリが優れている人は、知能も優れていることが多い

ということですね。

 

知能については、大きく分けると

① 結晶性知能 (crystallized intelligence)

② 流動性知能 (fluid intelligence)

の2つがあります。

 

このうち結晶性知能は、過去の経験や知識をもとに問題を解決する際などに主に働く知能のことを指します。
対して、流動性知能は、これまでに遭遇したことのない状況で、既存の知識では解決できない問題を解決する際に主に働く知能のことを指します。

 

ワーキングメモリに関しては、このうちの特に流動性知能に関連していると言われています。

 

Working memory capacity and fluid intelligence are strongly related constructs: Comment on Ackerman, Beier, and Boyle

 

ですので、新しいことにチャレンジしたり、創造的なことをしようとする場合には、ワーキングメモリが優れている方が有利ということにもなりますね。

 

ワーキングメモリと発達障害の関係

実はワーキングメモリは、発達障害とも関連があると言われているのです。

 

特に算数や言語学習の障害をはじめとして、注意欠陥多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム(ASD)などとも関連があるそうです。
計算や言語が苦手というのは何となくわかりますが、そのほかの発達障害とも関連があるとは、なかなか奥が深そうですよね。

 

ワーキングメモリと仕事の関係

 

知能や病気にも関係しているワーキングメモリですが、普段の生活で最も関係しそうなところは、やはりなんといっても仕事などの高度な作業をする場合です。
何かを記憶しつつ、それをしっかり処理して、様々な課題をこなしていかないといけないですからね。

 

特に一度にたくさんのことをこなしたりとなると、ワーキングメモリをフル活用している状態となっているはずです。
またそんなときは、かなり集中している必要があるかと思います。

 

単純な作業をする際には、ワーキングメモリもそれほど重要とされないかもしれません。
しかし高度な作業をする場合には、ワーキングメモリがちゃんと機能するかどうかが、仕事の成否を決めてしまうと言っても過言ではないぐらい重要なんです。

 

ですから、ワーキングメモリをしっかり働かせることができさえすれば、仕事効率をupさせることもできるかもしれないんです。

 

ワーキングメモリのパフォーマンスを低下させる原因に要注意

 

仕事をする上でも重要なワーキングメモリですが、ちょっとしたことでそのパフォーマンスが低下してしまうことがあるので注意が必要なのです。

 

まず一番に言われているのは

ストレスや不安

なんです。

 

ストレスや不安が多いと、ワーキングメモリのパフォーマンスは低下するとのことです。

 

Stereotype Threat and Working Memory: Mechanisms, Alleviation, and Spillover

 

ですから、仕事のパフォーマンスを上げようとするのならば、できる限りストレスや不安の少ない環境で取り組みたいところです。
まぁ確かに不安などがあると、仕事にも集中しにくいものですよね。
以前書いた"フロー状態"に入るためにも、環境をぜひ整えるようにしましょう。

 

フロー
全集中のフロー状態に入って作業効率を上げていきましょう

続きを見る

 

またワーキングメモリは、記憶の保持などで容量を使い続けると、機能が低下していくともいわれています。
ある程度の作業が終わったところで、使用した記憶を開放してあげる必要もあるということです。

 

ワーキングメモリのパフォーマンスを改善するには?

 

ワーキングメモリの機能をできるだけ改善できれば、仕事の効率も上がることは間違いないですよね。
ではどうしたらワーキングメモリのパフォーマンスを向上できるのでしょうか?
その方法について順に見ていきましょう。

 

1.不安やストレスの解消

 

先ほども書いた通り、不安やストレスがあるとワーキングメモリのパフォーマンスは低下してしまいます。
ですから、まずは不安やストレスを解消して、快適な環境を整えることが一つですね。

 

2.必要な情報を長期記憶化や記録する

 

ワーキングメモリは"記憶 + 処理"ですが、この"記憶"の部分で消耗してしまうことがあるんです。
何かを覚えておきながら、ほかの作業を続けるのって結構ストレスだと思いまんか?
またPCでもメモリをいっぱいまで使ってしまうと、動作が遅くなったりしますよね?
それと同じようなものですね。

 

それを解消するには、記憶を長期記憶化するというのが一つの方法です。

 

PCで例えれば

メモリから移動して、HDDに保存しておく

というのと一緒ですね。

 

PCでもメモリの容量が解放されれば、その分新しいタスクに取り組むことができますもんね。
長期記憶に記憶を移行させておいて、必要な時にそれを引っ張り出してこればOKってことです。

 

また長期記憶するまでは面倒という場合には

メモを取る

というのも簡単な解決法の1つです。

 

 

メモに書き残すことで、必要な情報を短期記憶にとどめておく必要がなくなりますからね。
メモを取って頭がスッキリした気になるのは、ワーキングメモリが解放された影響もあるんでしょうね。

 

またTo Do Listなんかも、まさにやらなければいけないことを書き出してワーキングメモリの記憶の部分を開放する効果があると言えますね。

 

To Do Listを書くことで頭がスッキリするのも、多分この効果なんでしょう。

 

To Do
To Doリストをノートに書いて頭をスッキリさせましょう!!

続きを見る

 

 

3.瞑想やマインドフルネスをすること

 

瞑想やマインドフルネスには、ワーキングメモリのパフォーマンスを向上させる効果があるという報告もあるんです。

 

Mindfulness Training Improves Working Memory Capacity and GRE Performance While Reducing Mind Wandering

 

だから世界の名だたる人たちが、瞑想やマインドフルネスをしているというのも、なんだか納得ではありますよね。
また瞑想自体は脳を休める効果もあるので、それもきっと良い方向に働いているんでしょうね。

 

瞑想については、以前書いた記事もぜひ見てみてくださいね。

 

瞑想
瞑想の効果を生かして潜在意識と繋がっていきましょう

続きを見る

 

ワーキングメモリはトレーニングで鍛えることができる?

 

それではワーキングメモリ自体を鍛えて、仕事などのレベルアップを図ることはできるのでしょうか?
また関係していると言われる知能(IQ)自体も改善することはできるのでしょうか?

 

その答えはというと、ワーキングメモリ自体は訓練などをすることで鍛えることはできるようです。
ただし知能をアップするまでの波及効果については、効果があるという報告もあるものの、あまりはっきりしないようでした。

 

ここでいろいろ書くと長くなってしまいそうなので、鍛える方法とその詳細については、こちらをご覧になってください。

 

トレーニング
N-back課題でワーキングメモリを効果的に鍛えてみませんか

続きを見る

 

ワーキングメモリをしっかり生かして、仕事ハックしていきましょう

 

ということで、今回はワーキングメモリに関するお話でした。
日常生活を営む上では、ワーキングメモリがしっかり働いてくれないと、いろいろ不自由してしまいますからね。

 

ワーキングメモリのパフォーマンスが低下しないように、集中して仕事をしたいときには、まずはストレスや不安の解消からですね。
そのうえで、覚えることが多いような場合は、メモなどで記憶の容量を解放するようにしましょう。
また脳をしっかり休めるためにも、ワーキングメモリをフル活用する前には瞑想をするのも一つということですね。

 

仕事の効率化を図るためにも、ワーキングメモリの特性をしっかり知って、ぜひワーキングメモリが最大限に働けるような環境づくりをしていくようにしましょう!!

 

シリコンバレー式超ライフハック [ デイヴ・アスプリー ]
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