健康・脳科学

N-back課題でワーキングメモリを効果的に鍛えてみませんか

前回の記事では、ワーキングメモリについていろいろ書いてきました。
それを読んでもらえれば、仕事などをしっかり進めるうえで、ワーキングメモリがとても重要であることはご理解いただけたのではないでしょうか。

 

ワーキングメモリの能力については、もちろん生まれ持った遺伝的な要素もかなり占めていると言われます。
しかしワーキングメモリ自体をトレーニングして、能力を鍛えることができるかもしれないのです。
せっかくならワーキングメモリのグレードアップを図りたいですよね?

 

今回はワーキングメモリを鍛える方法について書いていこうと思います。

 

ワーキングメモリは鍛えることができるのか?

 

ワーキングメモリを鍛えることができるのならば、ぜひ鍛えてみたいものですよね。
もちろんその前に、まずはちゃんとワーキングメモリが働きやすい環境を整えることが重要ですけどね。
そのあたりについては、前回のワーキングメモリの話を参考にしてみてください。

 

ワーキングメモリ
ワーキングメモリを最大限に生かして仕事効率をupしましょう

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それはではワーキングメモリをトレーニングで鍛えることができるのでしょうか?
またワーキングメモリを鍛えることで、ワーキングメモリと相関があるとされるている、知能まで能力を上げることができるのでしょうか?

 

そのあたりについては、以下の論文に詳しく書かれています。

 

ワーキングメモリトレーニングと流動性知能 ―展開と制約―

 

坪見先生の書かれた日本語のものですので、興味がある方はどうぞ。
専門用語がたくさん出てくるのでちょっと難しいかもしれませんが、最近の知見をまとめたものが書かれています。

 

その内容からすると

ワーキングメモリ自体は鍛えることはできそうだが、知能などへの波及効果は乏しい

というものでした。

 

これまで発表されている論文のメタ解析をさらにまとめているのですが、トレーニングした課題に近い課題については、成績がアップするらしいとのこと。
ただし知能などの直接的に関係の機能への波及効果(遠転移)はあまり見られないとのことでした。

 

これはちょっと残念な結果ではありますが、ワーキングメモリだけでも鍛えられるのあれば、やってみても良いかもしれませんよね。

 

N-Back課題でワーキングメモリをトレーニング

 

ワーキングメモリをトレーニングするのによく使われるものとして

N-Back課題

というものがあります。

 

"N"のところには数字が入るので、"2バック課題"や"5バック課題"となります。
"2バック課題"であれば、2個前のことを答えるというものになります。

 

それでは具体的にどのようなものか説明していきますね。

 

たとえば数字が"2"→"5"→"4"と表示されたとしましょう。
2-back課題では、"4"が表示されたときに、2つ前の"2"と答えられたら正解です。
次に数字が表示されたら"5"と答えるという手順ですね。

 

 

図にするとこんな感じです。
イメージ湧きますでしょうか?

 

これはNの数が少ないうちは良いのですが、多くなるほどどんどん難しくなってきますよ。

 

この課題は"記憶したものを思い出す"というプロセスとともに、"新たに記憶していく"という作業も同時にしないといけません。
だからまさしくワーキングメモリがフルに活用される課題ということですね。

 

さらに高度な二重Nバック(Dual N-Back)課題

 

Nバック課題だけでも大変ですが、さらにそのようなタスクを同時に行うのが

二重Nバック(Dual N-Back)課題

というものです。

 

実際に行われる例としては、9マスのマス目を使ったりします。
そのマスのどのマスに表示されたか、また表示された文字は何かを覚えるというようなものです。

 

①表示された場所
②表示された文字

の2つを同時に覚えて答えていくことになるので、"dual"と付くわけですね。

 

やってみると分かるかと思いますが、なかなか頭を使うことになるかと思いますよ。

 

二重Nバック課題(Dual N-Back)に挑戦できるアプリ

 

早速dual N-Backをやってみたいという方には、スマホでできるアプリがあるんですよ。
ほんと便利な世の中ですよね。
今回は2つ紹介しますが、どちらも無料アプリなので、気軽に試してみてください。

 

1.Dual N-Back

まさしくその名の通りのアプリです。
このアプリは、デイブ・アスプリーさんの"シリコンバレー式超ライフハック"の中でも紹介されていました。

 

シリコンバレー式超ライフハック [ デイヴ・アスプリー ]

 

デイブさん自身がこのアプリで訓練して、その効果を実感できたと言っていました。

 

どんなアプリかと言いますと、まず音声でアルファベットが順に読まれていきます。
それとともに8個のマスのうちの1つが点灯するというものです。
画面はこんな感じです。

 

 

N回前に点灯(紫色になる)した場所と同じ場所が点灯すれば、目のボタンをタップ
N回前に読まれたアルファベットが同じであれば、耳のボタンをタップするというものです。

 

最初はN=1から始まります。
つまり1個前と同じであればボタンをタップすればよいってことですね。
正解率が高ければ"次回はN=2に挑戦"と順番に進歩していくことになります。

 

上の画面の場合ではN=4になっています。
その場合、4個前に点灯したのが同じ場所だったら、左下の目のボタンをタップ。
4個前に言われたアルファベットが一緒だったら、右下の耳のボタンをタップすることになります。

 

課題がすべて終わると

 

 

こんな答え合わせの画面が出てきます。
この例だと、場所を正答できたのが5個、アルファベットが正答できたのが6個だったということになります。
"-"は正しかったのにボタンをタップしなかったもの、"+"は正しくなかったのにボタンをタップしてしまったものとなります。

 

もし正解率が低いと、1段階Nが下がることもあります。
そうなるとちょっと凹んでしまいますけど(^^;

 

こちらのアプリは英語版しかないのですが、そんなに難しい英語は使われていないので、誰でも使えると思いますよ。
無料では連続してできない仕組みとなっていますが、490円を払えばプレミアムにアップグレードして、以後はストレスなく使いこなせるようになっています。

 

Dual N-Back

Dual N-Back

Mikko Tyrskeranta無料posted withアプリーチ

 

 

2.DNB-15分IQアップ脳トレゲーム‪-‬

こちらはメンタリストDaiGoさんが制作したというアプリです。
このアプリも基本的に二重Nバック課題ができるものです。
しかしさらに高度な最大"4重Nバック(Quad N-Back)課題までやれてしまうというものです。

 

こちらのアプリは音声は使われません。
あくまで画面に表示されるもののみを記憶する形式となっています。

 

実際に4重Nバック課題をしようと思うと、こんな画面になります。

 

 

まず3×3の9マスの中のどこかに文字が表示されます。
この例だと”U"が赤丸に囲まれて左上に表示されていますよね。

 

これがN個前と一緒かどうかを思い出して

①場所
②文字
③色
④影(文字周囲の形)

が一緒かどうかでボタンをタップしていきます。

 

こちらもN=4にしているので、4個前と同じかどうかを下のボタンをタップすることで答えることになります。
たとえば4個あとに下の画面が表示された場合

 

 

色と、文字の周りの形(この場合は〇)が一緒なので、"色"と"影"のボタンをタップするというわけです。
なかなか忙しそうでしょ?

 

さらに4個あとに答えるために、この回の場所、文字、色、影も記憶しないといけないのです。
マルチタスクができないと、かなり難しいですよねぇ…。

 

もちろん最初から4つのことを同時に覚えるというのは、さすがに誰でも難しいと思います。
ですからレベルの低いうちは"場所""文字"を覚える"dual N back"からスタートすればOKです。
レベルが上がれば"場所""文字""色"を同時に覚える"triple N back"へと進化していく感じですね。

 

ちなみに自分はまだtripleで4 backぐらいが限界な感じです(^^;;;
でも繰り返しやっているとたしかに上達もするので、やり続けてみる価値はあるかと思いますよ。

 

DNB-15分IQアップ脳トレゲーム-

DNB-15分IQアップ脳トレゲーム-

keigo matsumaru無料posted withアプリーチ

 

 

二重Nバック課題ができるアプリのそれぞれのメリット・デメリット

 

上に挙げたアプリですが、それぞれメリットデメリットはあります。

 

 

まずはDual N-backから。

Dual N-backのメリット

・視覚と聴覚の両方の記憶を鍛えられる

・操作性がシンプルで分かりやすい

・成績に応じて自動でレベルを調整してくれる

・一度課金すれば広告なしで自由に使えるようになる

 

何と言っても、視覚記憶と聴覚記憶を同時に鍛えられるのは大きいですよね。
アプリ自体も非常にシンプルなので、使い続け安いと思います。

 

Dual N-backのデメリット

・音声が聞こえる環境でないとできない

・dual N-Backまでしか対応していない

・英語のアプリなので、最初は戸惑うかもしれない

 

聴覚記憶が同時に鍛えられる分、アプリを使う際には音が出せるところかイヤフォンをしながらしないといけないというのが欠点でしょうか。
でもそれを上回るメリットもあるので、使ってみる価値は十分かと思います。

 

対してDNBの方は

DNBのメリット

・最大4重N-Back課題までレベルを上げることができる

・日本語アプリで見た目もきれい

・正誤をすぐに表示してくれる

 

4重N-Back課題までできるというのは、難しい課題に挑戦したい人にとっては面白いと感じられるかもしれませんね。
また画面表示もきれいで、日本語対応なのも敷居が低くて始めやすい点と言えるでしょう。
正誤を回答した直後にフィードバックしてくれるのも、自分があっていたかどうかすぐ確認できてよいポイントだと思います。

 

DNBのデメリット

・広告が表示されて集中力が削がれがち

・視覚の記憶のみ鍛えられない

 

こちらのアプリは無料なのですが、広告が必ずどこかに表示されるのですよね。
課金して表示を消すことができないので、それがちょっと鬱陶しいと感じる人がいるかもしれません。

 

またdual N-Backと違って、視覚の記憶だけになってしまうので、視覚&聴覚と比べてどれぐらい課題として劣るのかが気になるところではあります。

 

それでもどちらのアプリも使っていて楽しいと思えるものとなっていますのでご安心くださいね。

 

Dual N Back課題アプリでワーキングメモリを鍛えてみませんか

 

というわけで、今回はアプリの宣伝みたいになってしまいましたが、ワーキングメモリを鍛えられる可能性のあるものだったので紹介させてもらいました。

 

ワーキングメモリに関しては、いろいろ研究されている段階ですので、今後違った見解が出てくるかもしれません。
N back課題の有効性についてもまだまだ分からない面はありそうですが、まったく無効というわけではなさそうですからね。
ワーキングメモリを鍛えたいということであれば、試してみる価値はあるかと思いますよ。

 

今回紹介したアプリはどちらも無料ですので、気軽にインストールしてみて、気に入った方を使ってみてはどうでしょうか?
やっているとストレスはたまるかもしれませんが、ちょっとずつ上達が感じられるので、またやってみようって気にはなりますよ。

 

ぜひちょっとした空き時間などにゲーム感覚でトライしてみて、ワーキングメモリをさらにブラッシュアップしていきましょう!

 

シリコンバレー式超ライフハック [ デイヴ・アスプリー ]
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