世の中には不眠で悩んでいる方は多いようですね。
実際に自分が診療している患者さんでも、眠れなくて困っているという方は結構たくさんいます。
不眠にも種類はあるのですが、特に夜中に目が覚めて眠れなくなってしまうケース。
あるいはいろいろ考えてしまって、スッと眠りにつけないというケース。
これらのタイプの不眠には、DMN(デフォルトモードネットワーク)の働きを押さえる瞑想が効果があるんです。
瞑想をするだけで不眠が解消できてしまうなんて、ちょっと良いなって思いませんか?
今回はそんな不眠に悩んでいる方にお届けしたい、不眠に対する瞑想の効果についてお話していこうと思います。
目次
不眠の種類について
まずは不眠の種類から考えていきましょう。
"不眠症"と一言で言っても、実はいろいろなタイプがあります。
不眠症を大きく分けると4つに分類されます。
1.入眠障害 (寝ようと思っても、なかなか寝付けない)
2.中途覚醒 (寝ていて途中で目が覚めてしまって、そのまま寝れなくなってしまう)
3.早朝覚醒 (朝早くに目覚めてしまう)
4.熟眠障害 (眠りが浅く、眠っているつもりなのに疲れが取れない)
この中で4.については、睡眠時無呼吸症候群などが隠れているかもしれません。
ですから、そのような方々はまず病院を受診することお勧めします。
"なかなか眠れない"と言って困っている人は、どちらかというと1.や2.のタイプの人が多いと思われます。
これらのタイプの不眠の方は、寝ようと思ってもいろいろ考えが巡ってしまって、なかなか眠れないのではないでしょうか。
考えが巡り巡って眠れなくなってしまう理由
寝ようと思っても、いろいろと考えが巡って眠れない。
これはなかなか辛いものですよね。
次の日は朝早く起きなければいけないのに、なかなか寝付けないとか。
こんなとき脳でどのようなことが起きているのかというと
デフォルトモードネットワーク(DMN)が過剰に働いている
と言えるのですね。
DMNが働きすぎて、無駄なマインドワンダリングが起きている状態なんです。
マインドワンダリングというのは、"思考のさまよい"と言われるものです。
いわゆる"雑念"とも言えますね。
"デフォルトモードネットワークって何?"って方は、以前書いた記事をぜひ見てみてくださいね。
【DMN】デフォルトモードネットワークとは? 分かりやすく解説してみます
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DMNが過剰に働いていると、いろいろなことが頭の中で巡ってしまいます。
それによってさらに興奮してしまって、どんどん眠れなくなってしまうんですね。
またDMNが過剰に働いてしまうと、脳のエネルギーもたくさん消費されてしまうので、さらに脳が疲れてしまいます。
そうなってしまうと、眠れないうえに脳が疲れてしまうという、最悪の状態になってしまいます。
翌朝からしっかり働かなければいけないような人にとっては、このような状態に陥ることはぜひとも避けておきたいところです。
睡眠薬に頼るのはあまりお勧めできません
これまでは不眠症というと、そこそこ気軽に睡眠薬(睡眠導入剤)が処方されていました。
しかし最近では、そのような薬は依存性があることが分かってきており、どちらかというと避けられるようになってきています。
もともと睡眠薬自体が無理やり脳の機能を止めてしまうようなものなので、正直なところ体にはあまり良いものではありません。
眠れないという人にとっては、藁をも掴みたい気持ちで睡眠薬を使いたいというのも確かに理解はできます。
しかし体にとって有害というのでは、さすがに使いつづけるのもちょっと躊躇しますよね。
そのようなこともあって、近頃は睡眠リズムを整えるタイプの薬も出てきています。
こちらは依存性はないと言われていますので、使うならそちらのタイプの方がおすすめではあります。
しかし薬に頼ることなくしっかりと睡眠が取れるのであれば、そちらの方がさらに理想的ですよね。
瞑想が不眠にも効果を発揮してくれるんです
眠れなくなってしまう理由として、先ほど挙げたDMNが過剰に働くことが影響していることがあります。
そのような理由で眠れない場合に非常に有効なのが
瞑想をすること
なんですね。
瞑想はDMNの記事でお話した通り、DMNの活動を抑制してくれる効果がすでに確認されています。
ですから、瞑想をすることは不眠症にも効果があると言えるのですね。
普段から瞑想をしておくことで、DMNの過剰な活動を抑えることができていれば、不眠にもなりにくくなるというわけです。
また"眠れない"ということになれば、その段階で瞑想を実践してもOKです。
ちゃんと瞑想することで、DMNの働きを抑えてくれますからね。
そして瞑想をしているうちに、きっと少しずつ眠くなってきてくれると思います。
実際自分も眠りたいわけではなくても、瞑想をしていて眠ってしまっていることがよくあります(笑)
ですから、不眠症の人にもきっと瞑想の効果は期待できると思いますよ。
瞑想の具体的な方法については、以前書いた瞑想についてのお話も読んでみてくださいね。
瞑想の効果を生かして潜在意識と繋がっていきましょう
続きを見る
もちろん瞑想をするために布団から出て、ちゃんと瞑想の姿勢をしてってやるというのはなかなか大変です。
むしろそんなことをしていたら、逆に眠れなくなってしまうかもしれませんものね。
だから眠りたいときは、布団の中で呼吸に集中するだけでも大丈夫です。
呼吸に意識を向けて、雑念が浮かんでこないようにしていれば、そのうちDMNの活動がおさまって眠れるようになってくれるはずですよ。
眠れない時に羊を数えるというのも一理あり
一般的に眠れない時には
って数えるとよく眠れると言いますよね。
こんな方法は迷信だと思っていましたが、実は本当に効果があるんじゃないのかなぁって最近は思っています。
というのも、数を数えるという"ラベリング"あるいは"ナンバリング"という行為は、瞑想の際にも行われることがあります。
呼吸に意識を集中して、呼吸の回数を"1回、2回…"って数えていくと、瞑想に入りやすいとも言われているんですよ。
呼吸を数えるのも羊を数えるのも、ある意味同じようなものですよね。
羊を数えることに集中していれば、当然雑念が入ってこなくなるはずです。
雑念が入ってこない=瞑想状態と同じ
と言えますよね。
羊を数えることに集中することによって、実はDMNの働きを抑えていたってことなんですよ。
「羊を数えたぐらいで、眠れるわけなんてないでしょ?」
って思っていた方も多いのではないでしょうか。
しかしくだらないと考えられがちなこの方法、実は脳科学的には正しい方法だったりするのですよね。
先人の知恵というものには"すごい!!"と感心させられてしまいます。
眠れない時にはぜひ簡易な瞑想をお試しあれ
というわけで、今回は眠れずに困ってしまった場合に瞑想をしてみるのも一つだよというお話でした。
不眠でも、特に瞑想の効果が期待できそうなのは入眠障害と中途覚醒になるかと思います。
これらの不眠症で困っている人は、たいていはいろいろな考えが浮かんできて眠れなくなっているのではないでしょうか。
そのようなことが原因で眠れずに困っているという人は、ぜひ瞑想を試してみてください。
いつも瞑想をしていれば、当然DMNの過剰な働きを抑えてくれるので、雑念が浮かんで眠れないということ自体が少なくなるはずです。
しかし普段から瞑想をしていない人でも、過去や未来の考えが次々浮かんできて寝れないというときには、横になった態勢でよいので呼吸に集中してみてください。
そして場合によっては呼吸の数を数えてみてください。
そうやって瞑想することで、雑念が次第に浮かんでこなくなれば、その後スッと眠りにつけると思いますよ。
もちろん先に挙げたように、古典的な羊を数える方法でも同じような効果は期待できそうな気がします。
薬のような副作用はありませんし、やって見て損することは何もありませんものね。
どうしても眠れなくて困ったという場合や、普段から考えが巡ってなかなか眠れないという方は、ぜひ一度瞑想を試してみてくださいね。